04
accidental an encounter






ピチチチ、…あー朝かぁ………「…んー…?」えーと…はちじ、じゅっぷん……ちょっとまって今日は確か火曜び…ってことは、



「ちっ、遅刻ーーーっ!!!!」




***




目が覚めたのが8時10分。 朝のSTには完璧間に合わない…!転校初日から大遅刻ぶちかますなんて何てばかなんだわたし!もちろん朝ご飯を食べる時
間なんてあるわけもなく、おとうさんとおかあさんに「いってきます!」とだけ言って急いで家を飛び出した。たしか用意は昨日何回も確認したから忘れものはないはず…!やっとのことで駅が見えてきてずっと走り続けていた足をほんの少しだけ緩めながら時計を見る、と…うわっ!次の電車まであと5分しかない…!切符すんなり買えるかもわかんないのに、急がないと…!わたしの足が先ほどと同じ速さで駆け出そうとしたとき、駅の前の交差点の向こうの方からうるさすぎるほどのバイクの音が聞こえた。ほんとにすさまじい不良がいるんだなぁーきっと信号とか無視なんだろうな、怖いなぁ…なんて考えていた、とき。交差点の横断歩道の真ん中に黒い固まりが見えて、目をこらす。


「…ー、う、そ、でしょ…?!」


その黒い固まりは間違いなく猫で、いつもなら「ほっといても逃げるだろう」と思うとこ、だけど。あんな騒音にも関わらずびくともしない、もしかしてー…気付けばわたしは全神経とか力とか、何もかもを足に注いで走りだしていた。



…―もう、わたしの前で―…


「―っ!!ねこちゃんっ!!!」



――バババババブルンブルン――



バイクの音が耳がおかしくなるくらい大きく聞こえる。わたしの声に、ふとこちらを向いた猫に半分飛びつきようにして抱きかかえてぎゅっと目を閉じて目を固くしめる。



――キキキキキィィィィ!!!!―――



…痛みが、ない。もしかして、わたし、し―


「っ!てんめぇ…死にてぇのかぁっ!!」


…え?ゆっくり、目を開ける。腕の中の大きなまんまる黄色い丸と目があう。にゃぁー、とか細く鳴いて頭をわたしにすりよせてきた。よかっ、たぁー…あ!バイク!!ばっと頭を下げたまま後ろを振り返る。


「すっ、すいません!!!あ、あの猫がいてあのそれで…!ほ、ほんとにごめんなさいっ!!」


頭を下げたまま言ってからばっと顔を上げ、………


「……」
「あぁ?んだよ?」
「…い、」
「あ゛ぁ?」
「…は、ばしら、ルイ…?」
「カッ!何で俺の名前…って、その制服は…!」


うそうそうそでしょ?!ルイに会っちゃったよ…!!いや、そりゃここは泥門だし、アイシールドの世界だし、当たり前っちゃー当たり前なんだけど…!っていうかかっこいいなルイ!…さん!とか思ってたらさっきまでがっちり合ってた視線をそらされた!(がん!)


「…にしてもてめぇ…」
「はいっ!」
「…何でこんなとこにいんだ?」
「……あーーーっ!!!!」




***




「ぎ、ゃぁぁああっ!ちょっ!しぬ!しぬぅぅううっ!!」
「カッ!うっせぇ!耳元で叫ぶんじゃねぇ!!」
「すいませっ…うわぁぁぁああっ!!!」


ビュンビュンと凄まじい音を立てながら風がわたしにぶつかる。、只今生まれて初めてバイクとやらに乗ってます!(しかも改造しまくりスピード出しまくり)さっきからずっと、後ろから追ってきてる車は見えないことにしよう…!何でこんなことになったかというと…


「ほんとすいません…」
「カッ!俺も泥門に行く途中だったしな。それに…」
「…?」
「さっきのは急ぎすぎてた俺の不注意でもあるからな…。」
「は、ばしらさん…!」


そう、さっきの一件でわたしはがっつり電車を逃してしまい、どうしようかと今にも死にそうな顔(してたらしい)を見たルイ…さんが、ついでにとバイクに乗っけてくれた。やっぱルイさん常識人なんだなぁ…うん、でも急ぎの用って…?


「はっ、ばしらさーんっ!」
「カッ!なんだよ!」
「用ってなんなんですかぁー?」
「…ヒル魔妖一に呼び出されたんだよ!悪いか!!」


あ!ヒル魔のぱしり!ってことはもう賊学戦終わっちゃったのー?!!…まてよ…落ち着いて考えたら、昨日確かデビルバッツメンバー全員で部室の工事してた…ってことはもう今はスフィンクス戦の前ってこと、かな…?そんなことを考えてたら急にキキィー!っていう音共に風が止んだ。急に止まったことに対応出来なくて顔をルイさんの背中にぶつけ「ぶへっ、!」という何とも色気のかけらもないような声がでた。(われながら恥ずかしい!)「す、すいません!」と慌てて謝ると、バイクから降りたルイさんが「カッ!悪ぃ、大丈夫か…?」っと言ってくれた。な、何という紳士…!「大丈夫です」と言いながらバイクから降りて、ルイさんと向き合う形で立つ。(…やっぱ背、高いな…!)


「ありがとうございました!」


深々と頭を下げると、上から「カッ!」というこんな短い間だけだったのに聞きなれてしまった言葉と「顔あげろ」というまたもや気づかいの言葉がふってきて、知らずのうちに口元を緩ませながら顔をあげる。


「ついでだ。んな気にすることじゃねぇよ」
「いや、助かりました、ほんと…今日転校初日で…」
「おまえ…転校初日で遅刻とはなかなかの悪じゃねーか」
「ちっ、違いますよ!今日はたまたま寝坊しちゃって…!!」


慌てて否定するわたしを見たルイさんがふっと一瞬笑う。それを見てなんだかすっごい嬉しくなって、わたしもあはは、と笑った。


「あ!もう行かないと、」
「あ、あぁ、そうだな」
「ほんとにありがとうございました、葉柱さん!」
「…ルイ」
「え?」
「んな呼び方されると鳥肌立つんだよ!だから…ルイでいい。」
「!はいっ!ルイさん!」
「だから…!」
「だってルイさんわたしの先輩なんですもん!また絶対お礼しますねーっ!じゃあ!」


ルイさんの方を向いて手を振りながら足は校内へと走りだす。せっかく早く送ってもらえたのに喋って遅れちゃ意味ないもんね!手を振るのをやめて前を向こうてしたとき、「…―お前名前はっ…―?!」あ!ほんとだ名乗るの忘れてたよばかっ!


「ですーっ!って呼んで下さぁーーーいっ!」


そう叫ぶと、了解というようにルイさんが少し微笑んだように見えた。―…よし!まず目指すは職員室ーっ!!




***




驚いた。最近のやつにしては見ない真っ黒な髪の毛に、高校生とは思えないほどの低い背、でっけぇ目…。しかも、野良猫の為だけに自分何かどうでもいいかというように道路に飛び出して来やがった。屈託のねぇ笑顔で俺を怖がる様子なんか微塵も見せず(バイクには怖がってたみたいだったが)、手を振りながら去る始末。礼儀も知ってるみてぇで俺が年上だからって「さん」付けで…ってあいつは何で俺が年上って知って…


「オイ」
「…?!」


いきなり足音も気配も無く後ろから聞こえた声に振り返ると、見慣れた金髪が傍に立っていた。


「人が急ぎの用で呼んでるっつーのにのんびり突っ立ってるとはいいご身分だなぁ?」
「だから急いで来ただろうが!!」
「それにしては遅いんじゃねぇのか?何してたのかな〜?」
「…カッ!なんもねぇよ」




あいつのことは、話せと言われても話してやんねぇ。



(まだその気持ちは芽生え始めたばかり) 












(080330)