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first an interview






今日はとってもいい天気!お日様さんさん気温ぽかぽか!時々心地よい涼しい風が吹いちゃったりもしちゃってくれて、外でひなたぼっこしたらすぐ寝ちゃいそう‥というかいまでも少し眠気が…ってだめだめ!!何のために部活の時間にわざわざ外に出てきたんだバカ!わたしは今日用があってこんなとこまでわざわざ来たんだから。っていうかもう着くはずなんだけ‥ど…あ、あった。ここ、か


「城下町病院…」


わたしが用があるのは城下町病院の418号室。あの有名人気アイドル、桜庭春人の病室。で、なぜわたしが来ているかというと、理由は簡単この間セナとモン太がお見舞いに行ったんだけど、虎吉くんの枕を持って帰って来てしまい、それをわたしが返しにきたという訳なのです。で、その桜庭くんが入院している418号室を探してるんだけど‥あっれーおかしいな…周りを見回してるけどどこにも‥


ドンッ


「きゃっ」
「わっ」


あたたたた‥!よそ見しながら歩いてたら誰かにぶつかちゃったよ‥!っていうかお尻うった‥(情けな‥!)何気痛いよ…


「すいません、大丈夫ですか?」


すっと目の前に手が伸びてくる。…わ、きれいな手‥きれい、だけど骨ばったとこをみると男のひとっぽい。(確かにぶつかったときも結構しっかりした体つきぽかった‥)男のひとなのにこんなきれいにしてるなんて、何か手を使う仕事してるのかなぁ‥。でも手を使う仕事なんてなんだろ?…‥手たれ?でも男のひとの手たれとかいるのかなぁ‥?あ、そういえばヒル魔さんの手も綺麗だった‥気がする。だって近くで見たことないし、というか見せてくれない?感じなのかなぁ。だってQBに取って手は命…‥って、QB?


「‥あのー‥?」
「えっ!あ、すいませ…」


ん?どっかで見たような‥っていうか考えるまでもなく、わたしが見上げた先にあるあの黒縁めがねをかけたひと、は、


「高見、伊知郎‥?」
「え?なんで俺の名前…」


やっぱり高見さんだ!!……ってやばいどうしよういまわたしがっつり泥門の制服だよしかも名前フルネームで言っちゃったよーっ!!とりあえず!落ち着こう!…あ、そう、だ、いーこと思いついた‥っ!


「すいません、急に飛び出てしまって…」
「いや、俺もぼーっとしてたから」


とりあえず高見さんに引っ張ってもらい立ち上がる。あらためてだけど、やっぱ背高いなぁ…わたしがちっさいのもあるんだろうけど‥。


「あの、実はわたし桜庭さんの病室を探していまして…」
「桜庭?えーと‥」
「あ、申し送れました。わたし、泥門‥の生徒でと申します。今日は桜庭さんと、桜庭さんの同室の子に用があって…」
「あぁそうだったのか。ってきり俺はファンの子かと‥」


じゃあ案内するから、という高見さんに着いていく。やった、作戦成功!やっぱりファンの子と間違えてたんだ‥桜庭くんはかっこいいと思う、けど、ファンとかじゃないんだよなー…うん。…そして、“泥門デビルバッツのマネージャー”って言えば良かった、のに。なんだか言えなかった。タイミング‥逃しちゃったかなぁ…。どうしてあのとき言葉が詰まって言えなかったかなんて、わたしにも、わからない…。


「えーと‥さん?」
「うぇっ?!あ、はいっ?というか、って呼んでください!」
「えっ?!」
「あ!あの、嫌ならいいんですが、出来ればでいいので!」
「いや‥さんこそいいのかい?」
「へ?わたしですか?…はい、わたしには何の問題もありませんが…」


わたしが高見さんに名前で呼ばれることに何の不利益があるんだろ‥?というか、高見さん困らせちゃったかな…!どうしようどうしようそりゃいきなり病院でぶつかったおんなが後輩の病室探してるとかいいだした挙げ句“名前で呼んでくれ”なんて変人というか変質者まるだし…?!


「わかった、じゃあそうさしてもらう事にするよ。よろしく、」
「は、はいっ!」
「さぁ、ここだよ」


いつの間にか目の前には一室の扉があった。高見さんがこんこん、とノックをすると中から「はい」という声が聞こえた。あの、声は‥


「桜庭、入るよ」
「そんなさっきまでいたんですからわざわざノックしなくても…って、え、あの、高見さん‥」


その人は‥という桜庭くんの不思議がるような困ったような声が聞こえる。たぶん不思議がってるんだろうけど‥高見さんの後ろにいるわたしにはまったく前が見えない…!!というか、“さっきまで”って桜庭くん言ったよね?…え‥ま、さか、もしかして…


「おう高見!遅かったじゃねぇーか!ん?なんだぁー?その後ろのちびは?」
「あぁ、さっきそこでぶつかったんだ。何でも桜庭と虎吉くんに用があるらしいから連れてきたんだよ。おいで、」
「…?」


ひょっこり高見さんの横に移動すると部屋全体がやっと見えた‥!お決まりの展開というか何というか…やっぱり高見さん桜庭くんのお見舞いに来てたんだ…!‥王城ナイツのメンバーで。


「がっはっはっ!なんだぁ〜?このおちびちゃんは!」
「なっ!お、大田原先輩っ!」
「ん?」


大田原先輩が片手でわたしの頭をばしばし叩きながらそう言う。桜庭くん‥そんな焦らなくったってわたし怒ったりしないよ…。だって大田原先輩は他校(しかも王城!)の先輩だし、ちびなのはほんとだし、それにわたし、


「いや!そんなの気にしないでくださいっ!!」
「いやでも…」
「ちびなのはほんとですし。それに…」
「「「それに?」」」
「わたし‥王城好きですから」


もちろん泥門が一番だけど!というのは心で呟いた。実際特に嫌いなチームは無かったもんなぁ…王城は泥門とも深く関わっていくし、ね。これからきっと何度も会ったりするんだろうなぁー…。と考えてたら後ろから声が聞こえた。「遅れてすみません」…え、もしやこの声は、。ばっと後ろを振り返るとそこには「しっ、」


「進清十郎!‥さんっ!?」
「、断言なのか疑問なのかはっきりしなよ」


思わず焦って叫んだら高見さんにつっこまれた。いや!だって‥!!…というか進くん。すごい怖‥くはないのですが、そんなに見られるとですね、さすがに緊張するというか…。どうしても身長的に、進くんはわたしを見下げる形になって、逆にわたしは進くんを見上げる形になってしまう。‥あ、進くんがやっと目をそらしてくれた。(ちょっと寂しい気もするけど‥!)


「高見さん、こいつは…」
「あぁ、そうだったね。泥門高校のさんだ」
「どうもはじめまして、です。さっきは急に名前呼んだりしてすいませんでした‥」


ぺこり、と頭を下げると「気にするな」という言葉が頭の上から降ってきたのでひとまず一安心。よかった‥。


「それにしても用って?」
「あっ!そうだった」


ほんとに何しに来たんだよわたし…!と言ってもこのびっくりどっきり初対面続きの中なんだから許して頂きたい。えーと枕は、と……あ、あったあった。

「えと、先日うちの者がお邪魔した時に間違って持って帰ってきてしま「あぁっ!俺の枕や!!」


突然の声にびっくり、したぁ…奥のベッドのカーテンがシャッといきなり勢いよく開いたと思ったら中から顔を見せたのはもちろん、


「虎吉!」
「どうりで無いと思たらやっぱりあのバカ猿が持って帰ってたんかぁ!」
「こ、こら虎吉!」
「ごめんね、虎吉くん」


はい、これ。と渡しに行くとじっとわたしの顔を見て固まってから「お、おおきに!」と手から枕を受け取ってくれた。どうしたのかな?もしかしてわたしの顔に何か着いてたのかな…?!


「ちゃん…って」
「あ!で構いませんよ」
「あ、そ?じゃあ、って、さ」
「はい?」
「もしかして、泥門アメフト部の」


マネージャー?桜庭くんが少し首を傾げながら聞いてくる。そっか、そりゃこの枕持ってきた人物たちを考えれば簡単にわかる、よね。


「桜庭、どういうことだ?」
「あ、はい。この枕を持って帰ったのは泥門の雷門くんと主務の小早川くんだったんです。だから…」
「…どうなんだ」


いきなりずしんと重い声が聞こえた「進、さん…っ」怖い、怖い、怒ったかな?けど、別に隠してたわけじゃないし、悪いことしたわけでもない。そうだぞ!こそこそした方が怪しいんだからはっきり堂々とすればいいんだ!「はい」


「申し遅れてすみません。泥門デビルバッツのマネージャーやってます、‥一、応…」
「一応?」
「何か、隠してたみたいですみませんっ!」


頭を下げると少ししてから上から声がする。


「そんなの気にしてないよ、」
「え…」


ふっと高見さんが笑う。っていうか、みんな(進さんはいまいちわからないけど…)笑って、る?


「たくさんの人間を見てきてるんだ。少なからずがどういう子だかっていうことくらい粗方わかってるつもりだよ」
「ばっはっはっ!お前は素直そうだからなぁー!」
「高見、さん‥大田原さん…」
「うん…僕も、は悪い子には見えないよ。進はどう?」


桜庭くんがそう進さんに問いかけると進さんがゆっくり頷く。やっぱ、正直に話してよかった…!


「あ、も僕のこと呼び捨てでいいから!同級生だし…名前は知ってるよね?」
「は‥春人、さん‥?」
「そうそう。だから呼び捨てで、ね?」
「あ、はいっ!」
「…俺も」
「え?」
「…呼び捨てで、構わない」


進さんがぽつりとそう呟いたのにびっくりしたら、どうやら他のみなさんも一緒だったみたいです。だって…え?!よよ呼び捨て?!進さんを?!


「…いやか?」
「いえ!じゃなくて、こっちこそいいのかなぁと…」
「構わないと言っている。同級ならば敬語もいらん」
「あ、はいっ!じゃなくて…うんっ、わかった!」


進さ…じゃなくて、清十郎がにこり優しく笑ってくれた。何かよくわかんないけどみなさんと仲良くなれたというか、会える機会逃しちゃったと思ってたからすごい嬉しいなぁ。どんどん、もっともっとたくさんの人に会いたいなぁ…。


「あ、もうこんな時間!長い間失礼致しましたっ!それではまたいずれ、」
「うん、またいずれ」
「転ぶなよー!」
「じゃあね、」
「(こくり…)」


それぞれみなさんと挨拶を交わしたあと、急いで病室を飛び出た。








(これからもきっとたくさんすること) 













(080622)