12
unconscious act
「…う、わぁー…」
これはひどいな。部室に戻って鏡を覗き込んだけど…うん、これはひどい傷だなぁ…。っていうか顔といいお腹といい、わたし怪我したらこんな傷ひどくでちゃう体質だったっけ…?!でも最近は怪我とかなかったし…その間に体質変化でも起こったのかな。…それにもうひとつ、左の腕のアザがおっきくなってるような気がする‥っていうか広がってる、間違いなく。あのひとが言ってた『アザは広がり続ける』って、どういうことなんだろう?終わりなく広がり続けちゃうのかな?んー…こっちに来てからわからないことだらけ…っ!そのとき扉が開く音がしたのでそっちを振り返る、と、
「あ、ヒル魔さん…」
やっぱり、というかさっきの指示からここにくるのはヒル魔さんぐらいだろうなぁとは思ってたけど。手に持ってるのは…さっきトレーニングルームでまも姉とわたしが使ってた、救護セット?
「ここに座れ」
さきほども聞いたようなセリフだなー…っていうかここってヒル魔さんの前?!なんでそんなわざわざ近くに…!部室もやっと完成して広くなったのにまたまたどうして…
「さっさとこいっつってんだろ!」
「は、はいっ!」
ぱたぱたと走っていきぽすんっと座ると…ヒル魔さんがなにかごそごそしてる。…もしかして、いやもしかしなくてもなにしてらっしゃるんでしょうかー…?
「あのー…ヒル魔さ「顔だせ。」
「えっ?!な、え、」
「治療、すんだよ」
くいっと顎を持たれて少し上を向かされる。ち、近い…!やばい、ヒル魔さんと目があう。ほんとに、近い。どうしたんだろ、わたし。心臓が、さっきからばくばく言い出して、る…ヒル魔さんに聞こえてたらどうしよう。っていうかこれ以上目開けてられない…っ!ぎゅっと目を瞑る。
「…ーっ!」
頬に綿が当たる感覚としみる感覚がして、すっごい痛い…!けど、我慢しなきゃ。せっかくヒル魔さんが、やってくれてるんだもん。貼るようのガーゼを貼ってもらってわたしの治療も終了!
「終わったぞ」
「あ、はい…あ、ありがとうございましたっ!」
「…お前…」
「へ?」
「…なんでもねぇ」
「?はい…、」
どうしたんだろ…何かわたしに聞きたいことでもあったのかな?と言っても部活関係のことならわたしよりまも姉の方がすぐ答えられると思うけど!‥(―ズキッ…)…‥あれ?なんかわたしいまズキッて…?
「おい、行くぞ」
「あ、はいっ!」
いつのまにかあと片付けを終えて扉から出て行ったヒル魔さんの後をわたしも数秒遅れで追いかけた。
***
「るっ、ルイさん!!」
「!!じゃねーか!なんでお前がこんなところに…ってなんだその傷?!」
「え、えへへー」
「えへへーじゃねぇよっ!」
「や、ちょっと転んじゃって…」
「…‥カッ!」
ぐしゃり、頭をそうされて「気ぃつけろドジ」と言ってからルイさんはヒル魔さんたちの方へ行っちゃいました。相変わらず優しいなぁールイさん。それにしても傷が傷だからしょうがないけど、このガーゼは目立つ…よなぁー…。お腹のほうは別に誰かに見せるとかないから大丈夫!なんだけど…。でも逆に利点、というか、これでしばらく左の方のアザは隠せそう。隠すっていうよりも言い訳というかアリバイが出来たって感じだけど。‥あ、そういえばルイさんわたしがアメフトのマネになったこと言ってなかった…!
「おい、ヒル魔」
「あ?」
「あいつ…なんでをマネにしたんだよ」
驚いた、まさかがアメフト部にいるなんて。さっきヒル魔に呼ばれてここ(泥門)に来て内心またに会いてぇと思ってる自分がいた。だから一瞬幻覚かと思っちまった…、。カッ!俺としたことが情けねぇ。にしても、なんであんなお世辞にも体力とかありそうに見えねぇ(まぁ頭は回りそうだが…)をマネなんかにしたんだ…?
「ケッ!テメェに答える義理なんかねぇよ。…あれー?それとも糞カメレオンくんは糞チビマネが気になるのかなー?」
「…‥カッ、寝言は寝て言え」
…なんなんだこいつ。冗談言ってるように見せかけて目はマジで、敵意剥き出しじゃねぇーか。…それとも無意識か?その視線を避けるように後ろを振り返りここに来ることになった原因であろう野郎のもとへ行く。
「…おい、そこの短い金髪」
「あ゛ぁ?」
「…、」
これにはまた驚かされた。こっちを振り返ったこの頬に十字傷があるやつ(確か十文字…とか言ったか)もよく見たら顔中傷だらけで絆創膏やらガーゼやらがべたべた貼られてんじゃねぇーか。まるで、と一緒…‥ってまさか、
「…おい、十文字‥っつったか」
「…んだよ」
「あいつ…の頬の傷のこと、なんか知ってっか?」
「…」
どんぴしゃ、一気に十文字の顔が曇りやがった。ここのアメフト部の連中は、あの悪魔とは違って素直な連中が多いらしいな。…にしてもよくわかんねぇ表情だな。怒ってるような、悔しがってるような…。
「あいつが…」
「あ?」
「が、俺を庇って男に殴られた」
「!!…どういうことだ?!」
「俺にもよくわかんねぇんだよ!ただ…いきなりあいつが…気付いたらが俺の前に立って…」
ギリ…十文字が歯を食いしばって強く拳を握る。…そういう訳かよ。…ったくあいつはなに考えてんだ。俺のバイクの前に飛び出してきた時もまるで自分のことなんか微塵も考えてねぇーみてぇに、あの黒の野良猫を抱きかかえて…こんどは野郎を庇ったってか?
「だから…」
「あぁ?」
「負けっぱなしは趣味じゃねぇんだよ!俺らを…を殴ったやつを…「わかった」
「!」
「それ以上は何も言わなくていいっつーんだよ。…テメェの気持ちはよくわかったからな…さっきはカスなんて言って悪かった」
「…お互い様っつやつじゃねぇ、か。…俺の方こそ悪かった」
…案外まともな奴みてぇだな、十文字ってやつは。気になんのは…そのの敵を取りてぇっつー気持ちがどっから来てんのか、だな。
(愛情友情仲間?それとも愛しい愛しい…―)
(080706)